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「農家であり続けてほしい」という想いにこたえて

戦後の貧しい時代も、お花が大好きで花農家をやられていたお爺さまの代から、続けられている埼玉県深谷市にある河田ばら園3代目の河田美弥子さん。「正直、最初はやる気がなかったです。」と打ち明けてくれた美弥子さんと、お父さまの三也さんに、今までの経緯と今後についてお話を伺いました。

河田ばら園/河田美弥子さん・三也さん
聞き手・文=ROSE LIFE事務局

「祖父がとにかくお花が好きだったんです。」

ーーーーー お爺さまの代から花農家だったと伺いましたが、もともとバラを作っていたんですか?

美弥子さん:祖父がとにかくお花が好きだったんです。戦後の貧しい時代も、野菜を一切やらず、花だけを栽培してきました。

三也さん:食べるものがない時でも、花が欲しい人がいたんですね。需要も少なかっただろうけど、花をつくる生産者も少なかったので、一番儲かったって(笑) 当時は、バラじゃなくて、菊とかアネモネでしたけど。

ーーーーー いつ頃から、バラを扱うようになったんですか?

三也さん: ちょうど東京オリンピックの頃ですかね。当時は、路地でのバラ栽培から始めて、他にも良いと思う花は、全部つくっていました。私がやり始めてから、バラだけに専念した時代もありましたが。

ーーーーー 三也さんの代になって、なぜ、バラに絞ったんですか?

三也さん:バブルの時にバラの需要が伸びたので、専業でバラを作ってました。その後、直売所に出すようになり、他の花も栽培するようになりました。もともとバラ以外の花も作っていたので抵抗はなかったですね。

ーーーーー なるほど。今はいろんなお花をつくられているんですね。

三也さん:バラ以外は、直売所で売り切れる量だけを作っています。消費者(お客様)と直接かかわることで、お客様の気持ちがわかるようになりました。

花屋さんが必要としてくれる「花」づくり

ーーーーー バラの品種はどういう基準で選んでいるのですか?

美弥子さん:魅力的に感じる品種を基準にしており、花屋さんが必要としてくれる花=「お客様が喜んでくれる花」なので、その品種をつくっています。

ーーーーー そうなると、市場の流行に合わせて、バラの品種を変えているんですか?

美弥子さん:そうですね。毎年1回は品種を変えています。今までは、同じ品種をたくさん栽培していたのですが、市場に持ち込むようになって、少量多品種のほうがお客さんにも目新しいし、多少高くても欲しいと思っていただけると思い、変えました。

三也さん:昔は3品種ぐらいしか作らなくても、大量に消費できたんですけどね。

ーーーーー どうやって、そういう流行の情報を手に入れるんですか?

美弥子さん:市場に行って自分で感じとったり、仲がいいお花屋さんがいるので、直接いろいろ話をして情報を仕入れています。

ーーーーー なるほど。よく市場にも出入りされているんですね。

美弥子さん:直売所にも商品を出しているので、市場から仕入れもしています。また、市場でたくさんの花が見られるのも楽しいですし、その情報を家に持ち帰って次の品種を選ぶアイディアにつなげてます。

ーーーーー そうなんですね。生産者なのに仕入れもしているって珍しいですよね。

美弥子さん:はい。なので、市場で「河田さん家のバラいいね」って、言われるのが嬉しいです。

三也さん:だから、変なものは作れないですね。みんなの顔知っているので。(笑)

「農家であり続けてほしい」というのが目標

ーーーーー 美弥子さんも、バラの生産に携わっているんですか?

美弥子さん:今は…。市場に出す準備、荷作りはしています。

三也さん:まぁ、一緒にやっていれば、長い間で分かってくると思っています。

ーーーーー でも、一緒に作業していないと、生産を分かるには難しいところがあるかもしれませんね。

美弥子さん:そうですね。いつも父の後ろについて仕事していれば別ですけど、今は生産と販売で分かれているので実際は難しいです。

三也さん:今みたいな経営は、自分がいないとできない。代わりがいないのでその辺も含めて、あと10年でどうしていくか準備をしていかなくてはいけないと思っています。目標は、ともかく「農家であり続けてほしい」。ただそれだけです。何を作るのでもいい。野菜でも構わない。だから、続けるためにも、利益をあげる仕組みを残したいです。いくらお金を残しても仕方ない。かえって害になるだけだからね(笑)

自分達で育てた花で作るアレンジメントが強み

ーーーーー 美弥子さんは、そんなお父さんの想いを受けて、もともと農家を継ぐ気があったんですか?

美弥子さん:正直、あまりなかったですね(笑) お花は好きでしたが、もう少しデザイン寄りのブライダルの装花に興味があって。大学卒業後、家に入りましたがやる気がなく、ご縁があった花屋さんに勤めることになりました。

三也さん:無理矢理やらせても仕方ないと思ったので、行かせました。結果、接客や言葉遣いなどを学ぶ事ができ、よかったと思っています。

美弥子さん:2年お世話になり、年齢的にもそろそろ家に入ってもいいかなという気持ちも出始め、この時、戻って頑張ろう!というやる気スイッチが入りましたね。

ーーーーー 家に戻ってからは、具体的にどういう事をやられているんですか?

美弥子さん:「生産もやりたい」と思っていましたが、父から今は売る方が大切だと言われ、販売をメインにやっています。また、直売所で頼まれたアレンジメントも作っているのですが、やはり仕入れた花ではなく、自分達が育てた花で作れるというのは自信をもって薦めることができるので、強みですね。

いろんな人にバラを楽しんでもらいたい

ーーーーー 今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか?

美弥子さん:今後については、試行錯誤中で、正直まだ分からないですね。基本は、いろいろな人にバラを知ってもらって、楽しんでもらえればいいかなと思っています。例えば、またここに直接買いに来たいなと思ってもらえるような、他の花屋さんにはできない、農家だからできることをしていきたいですね

三也さん:そうだね。「花を楽しんでもらう」というのを大事にしたいね。

ーーーーー 確かに、お花屋さんでは、バラが育っている姿は見れないですからね。

美弥子さん:そうですね。直接買いに来てもらえれば、切ってすぐお客さまの元に届けることもできますしね。ただ、わざわざ買いに来てもらわないといけないから、難しいところもありますが。

ーーーーー 美弥子さん、個人的にはどんなことにチャレンジしていきたいですか?

美弥子さん:新しくハウスができるので、一品種だけでもいいから、品種選びから全部自分でつくるというのをやってみたいですね。せっかく、一から学べるチャンスがあるので。

ーーーーー それはすごく楽しみですね。

美弥子さん:今回、ROSE LIFEを通じて、他のバラ農家さんのお話を伺い、みなさんつくることへの「こだわり」がすごくあるなって、感じました。販売するにしても、つくることの大切さを自分が理解していないと本当の良さが伝わらないと思ったんです。だから、自分で一からやってみようと思って。といっても、まずは生産の作業もできるように時間管理をしないといけないのですが(笑)頑張ります。

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    株式会社HAL / 古田
    オフィスのデスクに飾っています。河田さんのバラは咲き始めの頃から咲いた後まで本当に綺麗でよく持つので、社員の自宅でも元気です*葉まできらきらしてますね。有難うございます!