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生産者の枠を超えて、新しい価値創造にチャレンジ

お父様が作られるオリジナルの品種「和ばら」を軸に展開される滋賀県守山市にあるROSE FARM KEIJI3代目の國枝健一さん。「自分に嘘はつけませんからね」と、「ときめき」と「ご縁」を大切にし、行動されている國枝さんに、今までの経緯と今後についてお話を伺いました。

ROSE FARM KEIJI/國枝健一さん
聞き手・文=ROSE LIFE事務局

農家を継ぐことをきっかけに、「和ばら」というオリジナル品種へシフト

ーーーーー 國枝さんと言えば、「和ばら」という素敵なオリジナル品種ですが、初めから「和ばら」を栽培されていたのですか?

國枝さん:今は、父親が作ったバラ「和ばら」のみを生産し販売してますが、もともとは違いました。僕が農家に携わった事をきっかけに、一般的な品種からオリジナル品種へシフトしたんです。

ーーーーー そうだったんですね。なぜ、オリジナル品種へシフトしたんですか?

國枝さん: もともとは、父と母の2人だけでやっており、跡を継ぐ予定がなかったので、新しい取り組みをする必要がなかったんです。ただ、僕が家に帰ってきたことをきっかけに、農家を「継続」する必要がでてきて(笑) ちょうどその時、メインコンテンツとなる父親が作ったオリジナル品種のバラがあったので、それに注力することにしました。

ーーーーー そして、栽培方法も土耕栽培に変えたとか。

國枝さん:「自然の摂理にはかなわない」という想いと、僕自身が良いと思うバラが土の栽培ばかりだったんです。これは、土には何かあるに違いないと思いましたよ。「土で栽培したい」と言ったところ父も賛成してくれ、ちょうどその頃、土に詳しい良い先生にも出会うことができ、決断しました。

試行錯誤したオリジナル品種の確立

ーーーーー オリジナル品種へシフトしたとはいえ、ブランドを確立するまで、紆余曲折あったとか。どんなことが大変でしたか?

國枝さん:オリジナルは、他になくて良いという長所はあるんですが、全体のパイからするとわずか。広く周知されず、埋もれてしまうんです。ただ、たまたまご縁がつながり、流通のネットワークが段階的に広がってきたことや、偶然知り合った方達がメディアに取り上げてくれたことをきっかけに、少しずつお客さまを増やすことができました。ほんとご縁ですね。もともと、花業界にいたわけじゃなかったので、「こうでないといけない」というのがなく、オリジナル品種自体の認知度をあげるのと並行して、農園自体の認知度をあげることも意識しました。

「起業したい」・「海外に出て行きたい」という両方の想いにフィット

ーーーーー ところで、農家を継ごうと思ったきっかけは何だったんですか?

國枝さん:会社に勤めていたこともあったのですが、続けられないって思って(笑) もともと、起業したいという想いがあったんです。だから、常にコンテンツになるものを探してましたね。そんな時、バラは昔から、祖父の代からやっているけど、あんまり代わり映えしないなぁって思って。さらに、お呼ばれしたときのお礼なんかに、実家のバラを持って行くとすごく喜ばれたんですが、片や実家に帰ると、暗い雰囲気で仕事している。生産している側の雰囲気と、それを見て綺麗だと喜んでくれる側にギャップがあって、そのギャップにすごくチャンスを感じたんです。また、仕事で海外に出て行きたいという想いもあり、両方にフィットしたのがこの花の仕事だったんです。

ーーーーー 農家をやってみてどうでしたか?

國枝さん:やはり、はじめが大変でしたよ。花業界に対する前知識がなかったので。業界がこの形態で維持されていることにも理由があると思って、そのメリット・デメリット、流通のしくみについていろいろ調べました。流通の値段の付け方、業者さんによる値段の付け方などを全部知りましたので、それをベースに、どういうポジションをとってやっていくかということを考えましたね。

ーーーーー なるほど。現場には、生産というよりは、流通から入ったんですね。

國枝さん:そうですね。とにかく、全体が見えないと何をやっていいか分からなかったので。その次は、自分で伝えられるツールが欲しかったんで、HPを作りました。だから、生産をやるのは、ずっと後なんですよ(笑) 生産は、「こういうふうにした方が、お客さんがきっと喜ぶ」的な目線を、ベースにしてます。最近では、イベントや講演の話もいただくようになり、栽培の話をさせていただいているのですが、農園での日常の話が思ったよりウケるみたいで、結構みなさん共感してくれるんです!

本当にレベルが上がるときは、ハードが変わる必要がある

ーーーーー さらに、土づくりなどのソフト面だけでなく、温室の構造などハード面についても、かなり研究されているようですが。

國枝さん:それは先生の話を伺っていて、実際の温室をいろいろ見ていたら、土でつくるとか、肥料を使うとか、栽培方法はソフトだと思ったんです。ハードっていうと温室なんですが、なんかそんなに代わり映えしないなって。透明でカタチも三角とか丸で、面白くないなって(笑) コンピューターでも何でもそうだと思うんですが、本当にレベルが上がるときは、ハードが変わると思うんですよ。ソフトはそれに付随して、改良されていくだけ。土かどうかなんて、その先の話で、温室を研究しないといかんなと(笑) なので、少しずつですが、自分で作ってテストし始め、やっと採用できる状態になってきたので、それを元に設計した温室を作ろうと思ってます。

ーーーーー 温室まで設計するなんて、本当にすごいですね。

國枝さん:一回ハードができてしまうと変えられるのはソフトだけなんで、ハードは、なるべくシンプルな構造にするということを目指してます。ただ、そもそも、温室がベストかという点について、分からないところを、温室という閉鎖的な空間を使って勉強しているので、温室でやっていくことがいいのか?という点は、常に頭の中に入れてますね。なので、将来的には、温室も路地も両方やっていくと思います。

「生産者とは何か?」「いいお花とは何か?」を求めて

ーーーーー 今後、さらにチャレンジしていきたいことは何ですか?

國枝さん:これはずっと初めから変わらないんですが、僕のテーマは「生産者とは何か?」「いいお花とは何か?」という2つ。このテーマに関わるいろいろなことをやっていきたいと思ってます。「生産者の仕事」っていうのは、作って出すというだけでなく、もっと可能性を広げていきたいですし、「いいバラとは何か?」というのも、どこをどういう風にしたらもっと良くなるかというのを、いろんなカタチでアプローチしていきたいです。

ーーーーー その中に海外進出も入ってくるんですか?

國枝さん:はい。まだまだ日本で、農園ベースで海外に取り組んでいるのも、ウチぐらいだと思うので!誰もやっていないというのが一番嬉しいですし、テンションあがりますね(笑)

ーーーーー 新しい農園構想もその一つですね。楽しみです。

國枝さん:そうですね。すでに初めの構想よりどんどん大きくなってます!自分が想像している以上のモノがやりたいと思っていて、実際みなさまの力を借りて、自分が想像している以上のモノになっているという感覚があり楽しいです。頭と構想はついていってないんですけどね(笑)

ーーーーー それにしても、お忙しそうですね。

國枝さん:いろんなプロジェクトが動いてますが、「いいバラを求めていく」という点では、方向性は同じなんです。相乗効果を発揮できる部分があると思うので、いろんなプロジェクトを同時並行でやっていく事は、良いんじゃないかなと思ってます。ひとつのものを伸ばすのは難しいですが、複数のものをやって、それらの連鎖状態をどう作るかという事を意識してます。リスクヘッジにもなりますしね。

これから大事にしたいこと「林業」「農業」「地域コミュニティ」

ーーーーー 他にも、これから大事にしていきたい事があるとか。

國枝さん:先程のテーマの他に、これから大事にしたいものには、「林業」と「農業」と「地域コミュニティ」という3つがあります。「林業」・「農業」はエネルギーを作っている部分であり、地球の大きな循環の中にのっている産業だと思うんですよ。その中でも、「農業」は地域に根ざした産業であり、「地域コミュニティ」が大事になってくる。だからこそ、子供と一緒にいれるようにとか、近くで働いてくださる方に対しても、子供たちをひとつのコミュニティで育てていけるような地域性を大事にしていきたいんです。

ーーーーー 実際、お子さんと一緒の時間が多いですよね。

國枝さん:実際、農業をやってみて、子供と一緒にいれる仕事っていいなって思ったんです。ただ、何が足りないのかなぁと思った時に、それは「収入」だったんですよ。でも、それは、価値の創造は自由なので、やり方次第でどうにでもなるなって。まずは、成功事例をだして、挑戦してくれる新しい方をどんどん巻き込んでいきたいですね。

ーーーーー そのうち、農家さんも育成していきそうですね。

國枝さん:ははは。そうですね。それは次のステップですが(笑) 業界の発展を第一に考えて、まずは、「和ばら」でしっかり結果を出し、いろいろな活動をしていきたいですね。やっとそういうことができるような体制をとることができてきたので、これからもがんばります!

THANKS PHOTO

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    株式会社HAL / 古田
    今まで見たことがないような繊細で優しい印象のバラに驚きました。写真は、社内でのバラ給の様子です*女性社員はもちろん、男性社員も喜んでいます!有難うございました。