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独自のスタイルで、「香り」+αを求めて

「香り」のバラをコンセプトに、オリジナルの品種も展開されている静岡県藤枝市にある増田バラ園2代目の増田晋太郎さん。「最初から、効率化は意識していました。」と常に改善し、独自のスタイルを確立してきた増田さんに、今までの経緯と今後についてお話を伺いました。

増田バラ園/増田晋太郎さん
聞き手・文=ROSE LIFE事務局

「食用のバラをつくりたい」という想いから「香り」をコンセプトに

ーーーーー 増田さんのバラは「香り」が特徴的ですが、どのような基準で品種を選んでいるんですか?

増田さん:「香り」をコンセプトにしているので、「香り」が比較的強いという事を、品種選びのひとつの要素にしてます。「香り」の他には、アンティークっぽい花形や今まで扱っていなかった色など、全体的なバランスを見て取り入れてます。

ーーーーー 最近では、オリジナル品種の育種もしているとか。

増田さん:そうですね。オリジナルじゃなくて、一般的な品種でも、もちろん良かったんですが…
正直、あまり欲しい品種がなくて(笑) 植える面積が限られているので、品種にはこだわりたかったんです。

ーーーーー そもそも、なぜ「香り」にこだわったんですか?

増田さん:もともと「食用のバラをつくりたい」という想いがあり、食用にするには「香り」があった方がいいんじゃないかなと思ったんです。といっても、まだまだ切花がメインで、食用のバラではお金になっていなかったので、切花にも使える「香り」のバラを集め始めたんです。

ーーーーー なるほど。「食用のバラをつくりたい」というのがスタートだったんですね。

増田さん:切花の需要をみていると、切花だけでやっていくのは、難しいのかなと思い、違う切り口をいろいろ考えたんです。その過程で、野菜も作っていた時期もあったんですが、すっごく大変で(笑)
同じ「農家」といっても、他の作物をつくるということは、大げさに言うと、転職のようなものなんですよ。なので、バラを続けていくなら、付加価値が付く「食用バラ」へつながる「香り」のバラに集中することに決めたんです。

「食用バラ」への挑戦

ーーーーー 実際、「食用バラ」をつくってみてどうでしたか?

増田さん:最初は、食用バラと切花を一緒のハウスで作ってたんです。そしたら、食用バラは完全無農薬なので、切花に虫がついちゃって、切花のロス率が高くなっちゃいました(笑)
その後、食用バラと切花を完全に切り分けて作るようになり、やっと切花をちゃんと出荷できるようになりました。

ーーーーー なるほど。大変だったんですね。でも、「食用バラ」がきっかけで、人脈が広がったとか。

増田さん:そうですね。「食用バラ」を使ってもらえるような活動もしていたので、食べ物を作っている方、例えばトマト農家の方やそれを扱う有名レストランのシェフの方に出会うことができました。
その後、切花にシフトさせて、ちょっと忙しくなってきてしまったので、食用の方はあまり進んでないんですけどね…

ーーーーー そうなんですね。なぜ食用ではなく、切花に集中させたんですか?

増田さん:やっぱり、食用バラを売るのが難しくて。バラは飾るものであり、「バラを食べる」という概念がなかなか受け入れられなかったんです。あと、食用バラだけだと、扱う量もあまり多くなかったので、食べ物以外にも、ローズウォーターなどの加工品を作ってみたり、いろいろ実験もしました。とはいえ、ローズウォーターも、誰にどうやって使ってもらうの?というところまで、考えないと商品にはならないので、まずは作ってみたという段階ですがね(笑)

モチベーショが下がったこともあった日々

ーーーーー ところで、バラ農家を継ぐ事は、最初から決めていたんですか?

増田さん:大学の時に父が亡くなり、卒業後就職せずに継ぐ事になりました。いつかは継ぐと思っていたんですが、思ったより早まりましたね。就職してれば、社会の基本的なことも分かったのかなと思いますけど(笑) それまで、全く手伝っていなかったので、最初は他の生産者の方に、一から教えてもらって始めました。

ーーーーー 農家をやってみてどうでしたか?

増田さん:もともと作業自体は嫌いじゃなかったですね。ただ技術が身に付いてきて、作ったものが売れるのは楽しかったんですが、組織のしがらみやマーケットを気にしすぎて、ストレスで身体を壊しました。「このやり方だと一生続けられない」と思って、モチベーションが下がった時期もありましたね。

ーーーーー そうだったんですね。どうやって状況を変えていったんですか?

増田さん:そんな状況の中でも、食用バラなど新しいことを考えるのが楽しかったんです。なので、そのことを進めながら、組織から脱退することを決断しました。その後、自分で営業をはじめ、知り合った花屋さんからご好意で東京の世田谷市場さんを紹介いただき、独自の流通経路を確立していくことができました。2年前の秋ぐらいからですかね。やっとうまくかみ合いはじめたのは。

ーーーーー それは大変でしたね。

増田さん:でも、その時、6次産業化プランナーの方に出会う事ができ、いろいろ相談に乗っていただくことができました。その方からアドバイスをいただき、栽培過程で数値を記録するようにしたり、余裕に回せる部分ができるまでは、食用ではなく切花に集中することにしたんです。

12年かけて、自分のスタイルを確立

ーーーーー なるほど。だから、いろいろ数値を記録して、栽培管理されていたんですね。その方とは、どうやって知り合ったんですか?

増田さん:その方とも「食用バラ」をやっているときに、6次産業化の集まりで出会いました。経営が大変だって伝えたら、個人的に経営の基礎を教えていただきました。今でもお付き合いがあり、僕を応援してくれているんです。そのひとつに、今度「さつまいも」と僕の「バラ」を扱ったお店が、静岡にできるんですよ!このミスマッチなカンジが、インパクトありますよね(笑)

ーーーーー 数値管理以外にも、効率化を意識した工夫が見られますが、昔からなんですか?

増田さん:効率化は最初から考えていました。僕が基本的に全部作業をやっているのですが、なんか大変だったんです。父がやっていた作業の流れの中でやっていたんですが、もっと簡単にできないのか?というのを、常に思ってて。毎年の植替えで新しいことを取り入れていき、やっと自分の栽培スタイルになってきました。野菜やバラが混在していた時期もあったんですが、やっと「香り」のバラで全部のハウスを占める事もできましたよ。12年の集大成です(笑)

「香り」自体を、直接楽しんでもらえるように

ーーーーー 今後はどういうことにチャレンジしていきたいですか?やっぱり食用バラですか?

増田さん:食用バラはもう少し先ですね。というのも、食用バラをやったことによって、食品の厳しさが分かったんです。やるなら、きっちりやらないと。なので、今は「香り」自体を、直接楽しんでもらえるには、どうしたらいいか?というのを考えてます。たとえば、全部「香り」のバラの半身浴での活用とか。半身浴で活用できると、花の頭だけあればいいので、曲がってしまった2等品のバラも活用できるんですよ。他にも、「香り」は新鮮なほど強いので、農家直送でしかできないこともやっていきたいなと思ってます。

ーーーーー 「香り」を軸にどんどん広がりますね。

増田さん:そうですね。あとは、日本にしかない香りのローズウォーターをつくってみたいですね。ヨーロッパなどから輸入されているローズウォーターの香りは、ダマスク系が主流ですが、バラの香りの系統は7種類ぐらいあるので。他にも、バラの香りによる効能を勉強していきたいです。効能の断言は難しいかもしれませんが、ブルー系は集中力が高まるとか、いろいろあると思うんですよね。
これからも「香り」を軸に、「香り」+αを追求していきたいと思います!

THANKS PHOTO

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    株式会社HAL / 古田
    バラ無事受け取りました* お手紙に書いて下さっていた通り、3種類それぞれ、全く香りが違いますね...!お陰さまで楽しませて頂いています。有難うございます*
    増田バラ園
    ありがとうございます。今回の香りはダマスク系(イブカルマン)、ミルラ系(フェアビアンカ)、ティー系(ジャンヌダルク)をお送りしました。次回は違う香りのバラをお送りしますね。